コンテンツ流通促進のための基盤システム |
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[コンテンツIDとは何か] |
我々が目にする商品にはバーコードがついており、この商品ごとにユニークな番号は、通管理やスーパーのレジで活用されている。コンテンツIDとは、デジタルコンテンツに対してユニークなIDを付して属性情報を管理し、その流通を支援しようというもの。
社会のネットワーク浸透、ブロードバンドの実現に伴い、デジタルコンテンツ流通市場の活性化が期待されている。一方では、コピーが容易で品質が劣化しないというデジタルコンテンツの特性から、不法コピー等著作権侵害が心配されている。コンテンツIDはこれらの課題に応えるもの。
コンテンツとそのIDを一体不可分にするため、電子透かし方式の採用をオプションとしている。
コンテンツIDは、コンテンツIDフォーラム(www.cidf.org)によりグローバルスタンダードを目指して検討・推進されており、その結果はWebで公開されている。 |
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[コンテンツIDを支える仕組み] |
コンテンツIDに絡む、コンテンツ流通のモデルは次のようになる。
クリエータやコンテンツホルダは、流通させたいコンテンツをコンテンツID管理センタに持ち込む。ID管理センタではコンテンツにユニークなIDを付し、権利・流通等に関する属性情報をデータベースに登録する。コンテンツIDが付されたコンテンツが市場に流通し、使用しようとする消費者の目にとまる。消費者はコンテンツIDにより、RA(レジストレーションオーソリティ)にID管理センタの所在を問い合わせる。RAより回答された所在により、消費者はID管理センタに料金等使用条件を問合せ、さらには必要であればID管理センタの登録情報を元にクリエータやコンテンツホルダと交渉を行う。
コンテンツとコンテンツIDを不可分とするためには、電子透かしによりコンテンツIDをコンテンツに埋め込む。電子透かしの方法は各種あり、技術開発も盛んなので一方式に定める事は現実的ではない。このため、透かし方式をコンテンツに埋め込むためのメタ透かし方式を定める。この場合、コンテンツにはコンテンツIDを格納した実透かしと、実透かし方式を格納したメタ透かしの2つが埋め込まれる事になり、これを二階層透かしと言う。この採用はオプションである。
実透かしは透かしセンタにより埋め込まれる。透かし済みのコンテンツではコンテンツIDが見えないので、消費者はコンテンツ(もしくは一部)をRAに送る。RAではメタ透かしを解読して透かし方式を、さらに透かしセンタの所在を消費者に回答する。消費者は、コンテンツ(もしくは一部)を透かしセンタに送り、実透かしの解読とコンテンツIDの回答を依頼する。コンテンツIDの回答後は前述と同様である。
このように、コンテンツIDを巡る世界の中でRAは2つの役割をもつ。一つはID管理センタの登録・認証であり、二つ目は消費者に対するコンテンツIDのリゾリューションである。リゾリューションとはコンテンツIDからID管理センタの所在を、透かし済みコンテンツから透かしセンタの所在を提供する機能である。RAは、コンテンツIDフォーラムにより非営利機関が運営するとされており、当デジタルコンテンツ協会が推進母体として指名されている。 |
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[世界の標準とコンテンツID] |
コンテンツIDが優れたアイデアであっても、世界の標準と整合性を持たなくては、その普及は困難である。様々なIDシステムが世界各地で活用・検討されているが、あらゆるメディア、利用分野・地域、利用シナリオをカバーできるものは無く、他のIDシステムとの相互運用性を確保する事が重要である。コンテンツIDフォーラムは主要な国際標準機関と連携を取り、相互運用性の確保を図っている。ISOのMPEG-21、アメリカ映像業界SMPTEのV-ISAN、電子ドキュメントのDOI、テレビアプリケーションのTV
Anytime Forumである。 |
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[コンテンツIDの効果] |
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課金トランザクションの効率化:コンテンツIDを活用して自動トランザクション処理が可能となる。これまでは事務処理コストとの見合いから切り捨てられていた、少ない貢献分への支払、コンテンツの切り売り、コンテンツ価値の分解等が可能となる。 |
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不正利用探査の効率が高い:標準コンテンツIDとメタ透かしを用いたネットポリスは、他のプライベート探索方式に比べて検出能力が高い。 |
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マーケット情報収集:コンテンツの売れ筋情報、どのagent経由が売れるかを収集でき、マーケット情報の活用が出来る。 |
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オリジナリティ主張:サンプルやプロモーション商品からオリジネータに誘導が出来る。 |
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デジタルコンテンツへ“個体概念”を導入:各コンテンツに個別IDを付し、ID毎にOwnerを公開することにより、正規コンテンツの数を制限できる。 |
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[実証実験] |
RA設置に必要なシステム開発と実証実験を情報処理振興事業協会の補助により実施した。
コンテンツにIDを付与し、権利や問合せ先等のメタ情報の格納を行うのがID管理センタで、このID管理センタの登録・認証を担うのがRA(レジストレーション・オーソリティ)である。また、コンテンツ消費者がコンテンツからメタ情報を参照する時にID管理センタへ誘導する役割もRAが担う。今回の実験ではDCAjが主催者としてRAを担った。
さらに、コンテンツとコンテンツIDを一体不可分とするため、コンテンツIDを電子透かしによりコンテンツに埋め込むことが可能である。しかし、電子透かしは活発な技術開発が進められており、コンテンツにより適した方式の選択がある等から、唯一の方式を決めるのは現実的ではない。このため、コンテンツIDを埋め込む電子透かしを「実透かし」とし、この「実透かし」の方式を「メタ透かし」として重ねて埋め込む二階層透かしを採用した。コンテンツIDを実透かしによりコンテンツに埋め込み、逆にコンテンツより解読する機能は実透かしセンタが担う。メタ透かしは静止画用と動画用を開発し、その埋め込みと解読もRAが行った。 |
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事業は2001年9月に参加者募集を行い、最終的にコンテンツプロバイダ20社、ID管理センタ13社、実透かしセンタ8社等延べ約50社に参加いただいた。提供いただいたコンテンツは静止画・動画あわせて180点にのぼり、これをID管理センタに振り分けてコンテンツIDを付与していただき、さらに実透かしセンタにて埋め込み処理を行い、主催者でメタ透かし埋め込みを行ってDVDを作成し、参加者に配布した。
システム及び環境について、主催者はRAシステムの開発・整備に着手すると共に、11月には参加者へのインターフェース仕様を提示し、参加者側の環境整備を進めていただき、2002年1月にはRAとID管理センタ、実透かしセンタとの相互接続試験を行った。2月より1ヶ月が全参加者による実証実験で、各種コンテンツが各実透かしセンタとRAを経由して様々なID管理センタに格納されたメタ情報にたどり着く事が確認され、実験は無事に終了した。今後は、実際のビジネスに結びつける活動が望まれる。 |
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