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BAクリエイターズサロン:
21世紀の情報基盤であるブロードバンドによって、21世紀型サービス、ビジネスを創出する時代、コンテンツが主役になる時代です。BAクリエイターズサロンは、デジタルコンテンツに関係する経営者、管理者、クリエイティブ部門担当等を対象とし、ブロードバンド時代のデジタルコンテンツ・クリエイターの育成・支援を目的に、為ケ谷顧問を座長とし、次世代を担うクリエイターをお招きし、3カ月に1回程度、勉強会と名刺交換会を開催しております。
これまでの実施状況は こちら(PDFファイル)、実施概要は下記に掲載。

Aug 25, 2009

第8回BAクリエイターズサロン


講師:増尾 隆幸氏(株式会社ルーデンス代表取締役/CGディレクター・VFXスーパーバイザー)

  開催日時:平成21年8月25日(火)、18:00~20:00
  開催場所:虎ノ門フォーラム

テーマ:映画「パコと魔法の絵本」のCG・VFXとルーデンスの絵作りについて」
参加者数:41名

講演会場風景と講演概要
第8回BAクリエイターズサロンには、映画「パコと魔法の絵本」のVFXで、第12回日本映画テレビ技術大賞(経済産業大臣賞)を受賞された、(株)ルーデンス代表取締役 増尾隆幸(ますおたかゆき)氏を講師としてお招きした。

増尾氏は、京都市立芸術大学美術学部卒業後、イラストレーターとして活躍すると共に、アニメ、特撮番組のメカデザイン、キャラクターデザインなどを手がける。そして黎明期からコンピュータグラフィックス(CG)に取り組み、1990年、CGプロダクション(株)ルーデンスを設立し、CMや映画の制作においてクオリティの高い作品を制作してきており、自らもCGディレクター・VFXスーパーバイザーとして活躍されている。

今回のテーマは、2008年9月に公開され好評を博した映画「パコと魔法の絵本」のCG・VFXでの仕事を中心に、CGの絵作りに対する(株)ルーデンスの理念をお話頂いた。そして、参加者との議論の中で、日本におけるCG業界の現状や、CGプロダクションの経営の在り方、クリエイターの育て方などについて、増尾氏の考え方をお伺いすることが出来た。 講演では、氏がモットーとしているルーデンスの絵作りについて、次の4点を挙げられてその考え方を示された。
(1)CGは絵作りである。
(2)CGは芝居が命(アニメーションの基本は手付け)
(3)技術開発は重要だが技術に溺れてはならない。
(4)コストをかけたからと言って良いものが作れるとは限らないが、良いものを作るにはコストが掛かる。

イラストレーターとしての経験と実績から、CGはツールとして使うのであって、デジタルやアナログに関わらず、しっかりとした絵を作ることが基本である。また、CGであっても、そこには表現すべき芝居がなければならない。今回の映画の中でも、キャラクターに芝居をさせることが重要で、モーションキャプチャーでは表現できないものがある。技術開発は重要であるが、十分なコストが開発に掛けられない、日本のCGプロダクションの現状がある。更に、良い作品を作り出すためには、クリエイターの意識の高まりと共に、それを実現させる為の手間暇をかける必要がある。これは、作品の質を高めるためには必要なコストである。
映画「パコと魔法の絵本」の制作においては、この理念を基盤に、クオリティの高い映像制作を目指してCGは一社内で制作が行われ、ハリウッド映画のような分業化された制作体制ではなく、ジェネラリストであるクリエイターを中心に制作が行われた。「CG合成実写映画」+「フルCG映画」と言うコンセプトにより、映画製作に関わるそれぞれの役割が歩み寄り、一つの作品を作り上げて行くことが出来た。クオリティの高いCGを制作するためには、CGの技術力と共に、芝居のできるアニメーターが必要であり、日本の現状ではその才能を持った人材が不足していると言われる。氏は「クオリティの高いCGを作る機会がなければ、人材は育たない。だからCGディレクターが重要なのである。社員に対して、この様な良質な作品制作の機会を作り出すことが、人材育成として重要だと考えている。」と締めくくられた。
クリエイティブな才能と共に、CGプロダクションの理想を追求する増尾氏の、これからの取り組みに大いに期待したい。(文責:為ヶ谷秀一)


講師プロフィール:
株式会社ルーデンス 代表取締役/CGディレクター・VFXスーパーバイザー。1978年、京都市立芸術大学美術学部卒業。フリー・イラストレーターとして各種エディトリアルイラストを手がけるとともに、アニメ、特撮番組のメカデザイン、キャラクターデザインなどを手がける。1990年、CGプロダクション株式会社ルーデンス設立。
◎ 主なCG監督作品 = ●富士急ハイランド・アトラクション ”GUNDAM THE RIDE” CGディレクター(2000) ●サンライズ/バンダイ ”GUNDAM EVOLVE” シリーズ総監督(2001-2002) ●映画「下妻物語」 CGディレクター(2003) ●映画「嫌われ松子の一生」CGディレクター(2005) ●映画「パコと魔法の絵本」エグゼクティブCGディレクター(2008)
◎ 主な受賞歴 = ●「嫌われ松子の一生」第21回デジタルコンテンツグランプリ DCAj会長賞受賞 ●「パコと魔法の絵本」第63回毎日映画コンクール 技術賞受賞 ●「パコと魔法の絵本」のVFX 日本映画テレビ技術協会 第8回映像技術賞、第12回日本映画テレビ技術大賞経済産業大臣賞受賞 等

「株式会社ルーデンス」http://www.ludens.co.jp/