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BAクリエイターズサロン:
21世紀の情報基盤であるブロードバンドによって、21世紀型サービス、ビジネスを創出する時代、コンテンツが主役になる時代です。BAクリエイターズサロンは、デジタルコンテンツに関係する経営者、管理者、クリエイティブ部門担当等を対象とし、ブロードバンド時代のデジタルコンテンツ・クリエイターの育成・支援を目的に、為ケ谷顧問を座長とし、次世代を担うクリエイターをお招きし、3カ月に1回程度、勉強会と名刺交換会を開催しております。
これまでの実施状況は こちら(PDFファイル)、実施概要は下記に掲載。

Feb 23, 2012

第17回BAクリエイターズサロン


講師:猪子 寿之 氏 ( チームラボ 代表)


  開催日時:2012年2月23日(木) 19:00~21:00
  開催場所:東放学園キャリアーサポートセンター

テーマ:「チームラボ、デジタルテクノロジー、文化、アート、そして日本」


参加者数:62名

講演会場風景と講演概要
第17回目となるBAクリエイターズサロンは、エンジニア、デザイナー、建築家、CGクリエイターなど様々なスペシャリストが集まる「ウルトラテクノロジスト集団」チームラボ代表の猪子寿之 氏をお招きして開催いたしました。

講演の要旨は次の様にまとめられている。「デジタルテクノロジーを使ってどんな新しいことができるのか、文化をどう生かしていくのか、そういう思いで様々なことをやっています。そのような背景から、自分たちの文化を紐解きたい。文化の裏側にある世界をどう捉えていたか。西洋文明が入ってくる以前、我々は全く違うように世界が見えていたのではないのか。そんな考えから作品を創っています。日本人の、世界の違った見え方が、特有のデザインや産業を生んだのではないか。」
猪子氏は、“チームラボは、何をやっている会社なのか分からない”と良く聞かれる、と会場を笑わせながら、要旨に沿いながら具体的な取り組みの事例を示し、サイエンス、テクノロジー、アートの境界を区別しない仕事への取り組みについて、明解なお話をされました。
例として「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」と言う、書道家の紫舟さんとチームラボのコラボレーションで制作された作品を取り上げました。インタラクティブアニメーションインスタレーション作品で、壁面に紫舟さんの書かれた書が浮遊し、流れ落ちて来る。その書に触れようとすると、書の意味を含んだ文字は、その姿を変えていく。アート表現の裏側では高度なテクノロジーが駆使されており、人の影を認識してインタラクティブに、そしてリアルタイム表示により、立体空間に新しい景色を3DCGで創り出す事が出来る。「文字は、人間同士のコミュニケーションとしては最も古い手段と言えるが、それを最新のテクノロジーで表現する事で、新しい領域を創り出す事が出来る。」と言われる。
更に「チームラボハンガー」と言うシステムでは、ECサイトにおいてコーディネートした写真や動画の活用が、商品の売り上げに効果を上げている状況を観察して、店舗のサイネージを写真や動画を用いたインタラクティブなシステムとして構築した。人々の日常の行動をベースにした開発されたシステムは、海外からも注目を集めている。
現場で発見した事を本来の目的から離れて一旦抽象化して、そこから生まれるアイディアを、次のプロジェクトの中で付加価値を高める様に展開させている。「New Value in Behavior」が、そのコンセプトのキーワードである。 また、“マリオ”や“ドラクエ”を例に挙げて、伝統的な日本画等に見られるパースペクティブの捉え方が西洋と違う事に気が付き、「世界を違った見方で捉える」ことが出来る日本人の論理構造がもたらすイメージクリエイションが、日本のゲームのブームを世界にヒットさせたのではないかと分析している。日本文化をひも解く事から、その裏側にあるものを、今の世の中ではどう捉えて行ったら良いのかを考えることで、日本のオリジナルなコンテンツの競争力を持つ事が出来ると考えられている。
「ネットワークの時代は、プロダクツや空間は主役ではない。携帯電話はモノではなく、ネットワークの向こう側にあるものが面白いのであり、そのインターフェイスと考える事が大切だ。それは、iPhoneなどを見れば良く分かる。
これからの社会について、WEBがネットワークの象徴となっている様に、ますますネットワークを中心に全てが動いて行くと思う。都市の設計も、組織の作り方も、政治の構造も。“今後、色々な産業が生まれてきた時に、その産業と自分達の文化との相性が良い時、文化の強みが活かされた時、その産業は世界で勝ち残る力を保持できるのではないか”」と講演を締めくくられた。
参加者からも、「日本文化の視点や見方から、再構築してみると面白いのではないか、それが出来た産業に未来があるのではないか、という考えが非常におもしろかった。」「日本である事、日本っぽい事を生かして行くことによって、そこでの価値が世界で通じる事というのを改めて感じた。」「再構築という考え方に共感した。ネットワーク中心に考える、モノの延長上にネットワークがある訳ではない、という考えが非常に腑に落ちた。」 等猪子氏の講演に大いに触発されたとの反響が寄せられた。
チームラボらしい、文化の純度の高い組織でありたいと言う猪子氏の今後のますますのご活躍を期待します。
(文責 為ヶ谷秀一)




講師プロフィール:
ウルトラテクノロジスト集団・チームラボ代表。
1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。大学では確率・統計モデルを、大学院では自然言語処理とアートを研究。

チームラボは、プログラマ・エンジニア(プログラマ、UIエンジニア、DBエンジニア、UIアーキテクト、ネットワークエンジニア、ロボットエンジニア、画像処理エンジニア)、数学者、建築家、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、CGアニメーター、絵師、編集者など、情報社会のさまざまなものづくりのスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。 (http://www.team-lab.com/)