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BAクリエイターズサロン:
21世紀の情報基盤であるブロードバンドによって、21世紀型サービス、ビジネスを創出する時代、コンテンツが主役になる時代です。BAクリエイターズサロンは、デジタルコンテンツに関係する経営者、管理者、クリエイティブ部門担当等を対象とし、ブロードバンド時代のデジタルコンテンツ・クリエイターの育成・支援を目的に、為ケ谷顧問を座長とし、次世代を担うクリエイターをお招きし、3カ月に1回程度、勉強会と名刺交換会を開催しております。
これまでの実施状況は こちら(PDFファイル)、実施概要は下記に掲載。

Jul 22, 2010

第11回BAクリエイターズサロン


講師:季里(きり)氏  株式会社 七音社 取締役

  開催日時:平成22年7月22日(木) 18:00~20:00
  開催場所:東放学園キャリアーサポートセンター

テーマ:「クリエイター×コミュニケーション力」


参加者数:43名

講演会場風景と講演概要
第11回目となるBAクリエイターズサロンは、CG アーティスト、プロデューサーとして活躍をされていると共に、株式会社七音社を共同設立し、ユニークなゲームや、テレビ番組の制作、子供のためのワークショップ等幅広い活動を行っている季里氏お招きして開催いたしました。



「クリエイター×コミュニケーション力」と題した季里氏の講演では、「creation、communication、education」をテーマに、ご自身のクリエイティブな仕事への取り組み方や、会社でのマネージメントにおける経験などを通して、この分野で仕事をしている人々が同じ様に感じている課題を取り上げてお話頂きました。そして、今、その経験を通して人材育成、教育に対しても大変興味を持たれ、次世代のクリエイターを育てる教育現場での具体的な取り組みについても、実際の講義を模してお話をして頂きました。
学生時代、季里氏は、美術と教育を専攻して先生になる勉強をしている時に、「美しさは論理的に成り立っている」と言う事を知り、工学系の大学でコンピュータグラフィックス(CG)を学び、その可能性に引かれてこの分野で仕事をするようになったと言われる。当時、CGは未だごく初期の段階であり、現在の様にアーティストが自由に表現のツールとして使える様な状況ではなく、全てコンピュータのプログラムを書かなければ絵を描く事が出来なかった時代でした。その時に感じた事は、CGのプログラムを開発する工学系のプログラマーと、アーティスト、クリエイターとの間のコミュニケーションの難しさだったと言います。「それぞれの分野で使われている言葉が分からない」などから始まり「考え方に違いがある」などの問題は、会社を設立して事業を始めてからも、実際のプロジェクトの実行においても、同様な問題を引き起こす状況に何回も遭遇したと言われます。しかし、その経験から、仕事を進める上で起こるコミュニケーション問題の解決に向けて、次の様な意識を持って真摯にそれぞれの状況に対応する事が良いと言われた。そこでは、人として、お互いの違いを相互に認め合う、と言う事が基盤になっている。
「無知の知」
「感覚的な事は、絵を描く」
「相手の言葉でまとめてもらう」
「言葉の意味の確認・統一」
これ等を意識しながら「一つ一つの状況に対応して行く事が、クリエイティブな仕事の現場では大切である」と、季里氏は事例を挙げながらお話をされた。「プロジェクトにおいて大切な事は、お互いの考え方や取り組み方が違っていても、その違いを面白がったり、楽しんだりすることが出来る関係になる様な環境を作りだし、ゴールを共有して、そして成功体験も共有できるようにすることで、これ等の課題を乗り越えられる。」と、季里氏が一人一人の状況に対応して問題解決に真摯に取り組まれてきた経営姿勢に感銘を受けた。
講演を聞いていたクリエイティブな現場で仕事をしている若い人からも、悩んでいた事を乗り越えて仕事をする勇気が出てきたと、感謝のコメントも寄せられた。季里氏は、実業の世界でプロデューサーとして仕事をされながら、大学での講師も務められている、 今回のサロンでは、参加者も講演を聞いているだけでなく、一人一人にも積極的な参加を促し、発想を高めるためのブレインストーミング的授業も行われ、久しぶりに皆さん学生に戻った雰囲気になったのではないかと思います。素敵な講演に感謝すると共に、これからのますますのご活躍を期待いたします。

(文責:為ヶ谷秀一)




講師プロフィール:
大阪教育大学美術学科在学中の1983 年、大阪大学 大村皓一氏の元でCG アーティストとして活動を開始。子供番組等へアニメーション作品やキャラクターを提供。 1993 年株式会社七音社を共同設立。パラッパラッパー/ ビブリボン/ たまごっちのプチプおみせっち等のユニークなゲームづくりに参加。絵本制作・子供のためのワークショップ等幅広い活動を行う。筑波大学情報学群情報メディア創成学類客員教授、多摩美術大学情報デザイン学科外部講師。