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Aug 05, 2014

第89回BAエグゼクティブサロン


講師:森川博之氏(東京大学先端科学技術研究センター 教授)

テーマ:「M2Mが切り拓くデータ駆動型経済」

コメント: 森川先生には、2年前の「第5回ブロードバンド特別シンポジウム」でビックデータについて語って頂いた。その時、パーソナルなビックデータは米国勢(グーグル等)に歯が立たないが、モノのビックデータ/M2Mは日本が対抗できる新たな成長分野と捉え、研究開発を進めていると述べた。今回、その後の状況、取り組みを「M2Mが切り拓くデータ駆動型経済」のテーマでお話し頂いた。

はじめに、今年のショックだった出来事として、米グーグルが空調制御を行うサーモスタットを製造/販売する米Nestという企業を32億ドル(約3,200億円)で買収したことを挙げた。このメーカが作るサーモスタットは、米国内の家庭内で壁に取り付けて使われるもので、収集したデータをWi-Fi経由でスマートフォンに集め、スマートフォンで各種機器の制御ができるものである。森川先生は、この会社を数年前から知っていて、その価値は日本円でせいぜい100億円程度と見ていた。しかし、グーグルはこの買収により、家中のデータを集めるきっかけを作ることができ、そこ(データを集めること)に32億ドルの価値を見出した。

データを集める機構には、①「コンテンツ」を集める機構→ソーシャル化、②「行動情報を集める機構」→個人化、③「モノの情報」を集める機構→スマート化、M2M/IoT(Internet of Things)がある。Facebook 、Google等は、①、②のパーソナルデータを集める機構により新たなビジネスを起こしている。今後は、先の事例に示すように、③の「モノの情報」を集める機構,M2Mによる新たなビジネス、「データ駆動型経済」が注目されると述べた。

次に、ICTは蒸気機関や電気と並ぶ「汎用技術」であり,ICTが真に社会に溶け込み産業構造,経済構造,社会構造までをも変革するには、さらに数10年を要する.この社会変革を推進する起爆剤がIoTやM2Mであると述べた。IoTやM2Mの果たすべき役割として、土木,医療,まち,農業などを含むすべての産業領域に付加価値を与える「社会基盤としてのICT」を示した。また、データの価値が高まりつつあることを踏まえ,知識ベース資産への投資、フィールド志向の研究開発,サービス志向デザインが重要になると述べた。

交流会では、データ駆動型経済/革命に対する日本の取組の遅れ、米国指導で進められていることに脅威を感じるといった意見があった。

参加者数:25名