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Feb 21, 2013
第76回BAエグゼクティブサロン
講師:福井 省三氏(株式会社トマデジ フェロー、IPTVフォーラム 運営会議主査)
テーマ:「マルチデバイス時代の新しい視聴スタイルと放送の関係について~2013年1月 米国調査に同行した考察記~」
日時:2月21日(木)18:00~20:30
場所:NTTデータ本社(江東区 豊洲3-3-3 豊洲センタービル)
コメント:
はじめに、さまざまな端末(TV、PC、スマホ、タブレット)が登場、マルチデバイスの時代になり、HTML5ブラウザが多くの端末に実装されアプリケーションの共通基盤になると述べた。
テレビ番組の視聴は、自宅の居間はテレビ、通勤途中はスマホ、自宅の寝室ではタブレットになり、オンデマンド化、視聴率低下、放送広告の収入ダウン/ネット広告はアップする。また、テレビ広告はブランド/商品発見で、商品情報の入手と購入はスマホやタブレットが(Web検索/WebアプリWeb購入)担う形式になって来ている。
米国では、スマホが急速に普及、2012年後半に56%突破(タブレットは20%)、EU主要5カ国平均55%(注:日本は30%)になり、テレビ(放送)はセカンドスクリーンで視聴、将来的にはタブレットがセカンドスクリーン視聴のメインストリームになると見られている。
放送はサードパーティの電子番号ガイドアプリ(放送番組+SNS/投票/ターゲットCM)と連携し、セカンドスクリーンがソーシャルTVプラットフォームになり、セカンドスクリーン市場が形成される。また、ターゲットCM/インタラクティブ広告は、2015年までにテレビの広告(770億ドル)に匹敵する規模になる。
一方日本は、2013年3月にIPTVフォ-ラムが、HTML5ブラウザに日本独自の機能を付加したハイブリッド型テレビの技術規格を公開する。この方式は、放送のアプリ制御信号により、サードパーティのアプリケーションを取得する放送マネージドアプリ方式、ユーザの操作でアプリケーションを取得する(米国/韓国等の)放送外マネージドアプリ方式とは異なる。
セカンドスクリーン市場は、W3C国際標準HTML5に準拠したTV放送規格とパーソナルデータの扱いを規定したサービスルールにより発展する。米国は、官民挙げてパーソナルデータの共同規制に取り組み、2012年2月オバマ大統領が消費者権利章典を発表、2013年3月までにモバイル向け利用者許諾スクリーンの標準化が予定されている。民間のデジタル広告アライアンス(DAAは、ターゲット広告のために利用者からパーソナルデータを預かり、利活用の許諾を得る自主規制ルールCode of Conductを策定し、(自主規制を守る事業者には、Ad Choiceというロゴの使用を許可する)運用を行う。現在、米国主導で、クラウド(国外)とマルチデバイス(国内、HTML5ブラウザ実装)間のパーソナルデータの取り扱い(オプトアウト形式の規制)の国際ルールが固められつつある。パーソナルデータの健全利活用の社会的な認知が、新たなターゲット広告モデルの導入を可能にする。日本は国際対応を含め、早急に対応すべきであると語った。
交流会では、IPTVフォーラムが規格化するハイブリッド型テレビが普及するのか?パーソナルデータの国際対応はどうなるのか?などが話題になった。
参加者数:36名