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Mar 15, 2012

第69回BAエグゼクティブサロン


講師:黒田 豊(Cardinal Consulting International Inc.マネージング・ディレクター)

テーマ:「日常化する米国のインターネット・ビデオ視聴」

コメント: シリコンバレー在住の黒田 豊氏に、米国のインターネット・ビデオ視聴(プロ制作の優良コンテンツの視聴)の実態、変革のうねり、日本企業への提言を語って頂いた。
ユーザーは、以前はテレビで、テレビ放送(地上波、IPTV、衛星、ケーブル)を視聴していたが、今日では、インターネット経由で、色々なサイトから色々な端末でビデオ情報を視聴する大きな変革が広がり始めている。このインターネット・ビデオ視聴は、UGCによるYou Tubeからはじまったが、今日ではプロ制作のコンテンツがビジネスの主流になり、放送コンテンツが、大手テレビ局(ABC、NBC等)、アグレゲータ(Hulu等)から、インターネット経由、無料広告あるいは有料モデルで、(テレビ放送の)頭越し(OTT:Over The Top)に提供している。一方、ケーブル会社、衛星放送、通信(IPTV)会社は、インターネット経由、ユーザー認証による無料広告モデルで、「いつでも」「どこでも」で提供するTV Everywher(TVE)を実施している。
この変革は急速で、インターネット経由のTV視聴は、2020年にはブロードキャスト・テレビをしのぐ。また、インターネット・ビデオ広告は遠くない将来サーチ広告を抜き、その先に、インターネット広告がテレビ広告を抜く。この背景は、①インターネット上の豊富なビデオ・コンテンツ、②パソコンでビデオを見ることに抵抗のない世代の広がり、③ビデオ視聴可能な機器の進化(スマートフォン、タブレット、テレビ(ボックス・ゲーム機経由、スマートTV)④ビデオ配信技術の進化(Variable bitrate(VBR)の採用)にある。
米国のテレビ局は、コンテンツによる利益最大化を指向、テレビ放送はコンテンツ配信の1つのチャンネルに過ぎなくなり、視聴者そしてコンテンツ保持者が主役となる。これに向け、新しいビジネスモデル(広告形態、Eコマース、視聴者参加)が試行されている
テレビ局が中心に運営しているアグレゲーターHuluは、2011年6月から有料のHulu Plus($7.95/月)を開始(会員数150万)、2011年の売上60%増、$420mil、Huluの売却は中止、TVEも提供している。Huluの主たる競合は、映画を中心に通販レンタルでビジネスを始めたNetflix、現在はストリーミング・サービスに移行し、テレビ番組も追加、会員数は2,400万、売上$875.6mil(2011年4Q)、利益$40.7mil(2011年4Q)。
また、インターネット独自ビデオ・コンテンツ作成に、インターネット系の会社が本格的に参入開始、Netflixも投資し、その動向も注目される。
最後に、現在起こっている大きな変革は、コンテンツ保持者、通信サービス会社、ケーブル会社、広告業業界にとってビジネス機会であり、日本企業は米国の現状から学ぶべきことが多い。日本もチャレンジ精神をもって新しいビジネスモデルを試行し、新しい時代におけるフレキシブルな戦略を立てるべきであると述べた。
交流会では、日本に伝えられる情報に偏りがあり米国の実態が伝えられていない、Huluの収入は放送収入の数%に過ぎないが売却を中止し、将来に掛ける姿勢等が話題になった。

参加者数:23名